アデノウイルス(以下Adと略す)は、小児を中心とした、呼吸器感染症、眼感染症、泌尿器感染症、腸管感染症などの起因ウイルスです。

  Adには現在、50種類以上の血清型があります。そのうち7型(以下Ad7と略す)が1990年代に山形を含む日本全国で数十年ぶりに再流行した(再興感染症)ことがわかっています (参照HP)。

  当時の血清疫学調査結果では、40歳未満で特にAd7に対する中和(感染防御)抗体保有率が低いため、日本で大流行するのではないかと考えられていました。我々は、その後もAd7の流行状況を山形県内で注意深く観察していましたが、山形で再興が確認された1995年から約10年たっても患者数が激増することはなく、むしろ1998年頃をピークに減少傾向がみられることがわかりました(図1)。こうしたことから、”感染防御抗体が低いなら大流行がおこる”とは必ずしもいえないことがわかりました。この傾向は山形でも日本全国でもほぼ同じと考えられました(図2)。

 今後とも県民の皆様とともに感染症の発生動向調査を継続していきたいと考えていますので、どうぞご協力をよろしくお願い致します。
図1.山形の小児急性気道感染症の鼻咽頭拭い液から分離された月別血清型別アデノウイルス数(Microbiol.Immunol.50:553-558,2006より改変)
図2.山形と日本全国における年別Ad7分離数(Microbiol.Immunol.50:553-558,2006より改変)
皆様のご協力どうもありがとうございました