2001-02インフルエンザシーズン以降、カナダ、エジプト、ホンコン、インド、イスラエル、英国など、世界各地で新型インフルエンザA(H1N2)型が検出されたという報告があります。日本でも神奈川県で2株の分離報告がありました。現在の考え方では、ヒトにAソ連型(H1N1)とA香港型(H3N2)が同時に感染し、8本の分節遺伝子のうち、7本がAソ連型から、1本がA香港型(H3N2)から来た、遺伝子再集合体として生じたものと考えられています(図1参照)。
  それでは、山形のようなコミュニティで、Aソ連型とA香港型が同時流行すると、ヒトに同時感染して遺伝子再集合体であるA(H1N2)はどんどんと生じてくるものなのでしょうか?
 
 
  山形県では、実際1999年以降、Aソ連型とA香港型が混合流行している状況にあります。私たちは、遺伝子再集合体A(H1N2)があるのかどうかを調査するため、1998-1999から2001-2002インフルエンザシーズンまでの分離株383株について遺伝子を調べました。
  
  その結果、A(H1N2)が明らかにコミュニティの中にあったことは証明できず、私たちは、山形のようなコミュニティでAソ連型とA香港型が混合流行しても、それらの遺伝子再集合体であるA(H1N2) がそう簡単に生じてくるものではないと結論しました (Microbiology and Immunology 47:359-361,2003参照)。なお、A(H1N2)は現在流行しているAソ連型とA香港型の両者の性質をもっており、現行のワクチンも有効と考えられています。
  調査の実施にあたっては、ウイルス分離用の検体・をいただいた県民の皆様、保護者の皆様、関連医療施設のスタッフの皆様のご配慮をいただきました。ありがとうございました。

皆様のご協力どうもありがとうございました