厚生労働省(国立感染症研究所)では、地方衛生研究所と協力しつつインフルエンザの流行予測やワクチン接種計画の作成を行っています。山形県(衛生研究所)では、同省の依頼を受けて、いろいろな年齢の方の血清をいただき、インフルエンザの抗体価測定(免疫の強さの程度)を行い、同省に報告しています。

  山形県衛生研究所では、独自に”県民のウイルス・細菌感染症に対する抗体価調査:正確な流行予測法の確立のための研究”を行っており、その中で県民の皆様のエンテロウイルスに対する抗体保有状況の調査を実施しました。

  1999年に採取された血清を用い、エコーウイルス6型(90年と99年に山形で分離された2株)とエコーウイルス30型(91年と98年に山形で分離された2株)に対する中和抗体陽性率を調査しました。エコー6型に対する抗体陽性率は、いずれの株に対しても0-9歳では約50-60%、10-29歳で約40-50%、30-49歳で約70-80%、50歳以上で100%に近くなっていました。エコー30型に対しては、いずれの株に対しても0-4歳では約80%、5歳以上ではほぼ100%でした。以上のことから、エコー6型に比してエコー30型の方が山形で強く侵淫し、特に後者は、その抗体保有率から大流行をおこしにくい状況となっていることが示唆されました。また、エコー6型でもエコー30型でも抗原として使用した2株に対する抗体陽性率に差がなかったことから、7-9年の間隔をもって分離された同じ血清型のエコーウイルスの抗原性は、ヒトのポリクロナール中和抗体の認識レベルでは差がないものと考えられました。                  (山形県衛生研究所報34:73-75,2001参照)
(1)エコー6型に対する中和抗体陽性率

 
(2)エコー30型に対する中和抗体陽性率

皆様のご協力どうもありがとうございました