微生物部

目的

  平成9年3月14日の厚生事務次官通知において、地方衛生研究所設置要綱の改正が行われました。改正要綱によれば、地方衛生研究所設置の目的は、“地域保健対策を効果的に推進し、公衆衛生の向上及び増進を図るため、都道府県又は指定都市における科学的かつ技術的中核として、関係行政部局、保健所等と緊密な連携の下に、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報等の収集・解析・提供を行うこと”です。私たちの部門は微生物部ですので、実験・研究室の立場から、細菌・ウイルス・原虫などが原因でおこる県内の感染症対策ををどのように充実させていくかが主な責務といえます。

  同綱で、調査研究として、いくつかの項目があげられています。特に微生物部に関連あるものとしては、疾病予防に関する研究(特に感染症の疫学)、(感染症関連の)試験検査方法に関する調査研究、が該当します。また。試験検査としては、衛生微生物等に関する試験検査、が主なもので、一部食中毒事件の場合など、食品、食品添加物等に関する試験検査、に関与しています。研修指導については年1-2回、保健所研修を実施しています。公衆衛生情報等の収集・解析・提供については、主に、県内で流行している病原体検出情報、及び県民の病原体に対する抗体保有状況(調査研究の結果も含む)について、ホームページ、衛研ニュース、所報などを通じて公表しています。
               
  
山形県結核・感染症発生動向調査事業実施要綱の目的にもあるとおり、感染症の発生情報の正確な把握と分析、その結果の県民や医療関係者への的確な提供・公開が感染症対策の基本であり、すべての対策の前提となるものです。その実現には、病気になった患者さんの検体(咽頭拭い液や便など)を用いて検査を行う必要があります。県民の皆様、医療機関の皆様のご協力を宜しくお願い致します。

1) これまでに実施してきた調査研究

ア 注目される細菌感染症の発生動向調査及び感染源調査
イ ウイルスの検査法と感染症発生動向調査に関する研究
ウ ダニ由来感染症に関する基礎的研究
エ 県民のウイルス・細菌感染症に対する抗体価調査:正確な流行予測法の確立のための研究
オ 腸炎ビブリオ感染症発生動向調査及び感染源、感染経路の究明
カ コクサッキーウイルスB型に対する血清疫学調査

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2) 試験検査

一般依頼検査

  水中のクリプトスポリジウム、ジアルジア検査や、つつが虫病の検査等を行っています。

行政検査

  行政機関等の依頼により、微生物学的及び血清学的試験検査を行います。実施の主なものは次のとおりです。

ア 感染症発生時の病原体の探索及び疫学調査(保健薬務課)

  感染症小流行の場合、原則として保健所が検査を実施しますが、衛生研究所では検出された病原体の精査や遺伝子解析を行います。大流行の場合は保健所と共同で疫学調査及び病原体の探索を行います。

イ 食中毒事件の病因物質の探索(保健薬務課)

  • 原則として保健所がその調査にあたり、微生物学的検査を行います。衛生研究所では、主に検出された病原体の精査や遺伝子解析を行います。
  • ウイルス検査が必要な場合、採取された検体から病因物質の探索を行います。
  • 保健薬務課の判断により、必要と認められた事件を保健所と協力して疫学調査及び病因物質の探索を行います。

ウ 感染症流行予測事業(保健薬務課)

  • インフルエンザ血清抗体調査 
インフルエンザ HA、HI試験

エ つつが虫病に関する血清学的検査及び疫学調査(保健薬務課)

  臨床的につつが虫病が疑われる患者に対し、標準3血清型の株に加え新しい3種の血清型の血清学的確定診断を行います。また、PCR法によりリケッチアの遺伝子検出を試みます。


オ 後天性免疫不全症候群(AIDS)HIV−1とHIV−2の(第一次、第二次)精査を行います。陽性の場合、確認検査を実施します。

カ 結核・感染症発生動向調査事業(保健薬務課)

  検査定点から指定疾患についての病原体の検査を行う。

キ C型肝炎対策(保健薬務課)

  C型肝炎ウイルスの抗体検査、抗原検索を行います。

3) 保健所などに対する支援

ア 保健所試験検査担当職員研修会(各部共通、健康福祉企画課)
    期日  年2回程度
    場所  衛生研究所
イ その他随時必要に応じて技術支援を行います。
 

クリプトスポリジウム、ジアルジアの検査   腸管出血性大腸菌の遺伝子解析(パルスフィールドゲル電気泳動法)