私たちは、一生涯”かぜ”(専門的には急性気道感染症といいます)からのがれることはできません。特に子どものうちは年がら年中、鼻水・発熱・咳を繰り返します。こうした急性気道感染症の実に9割がウイルスによるものとされています。
  冬はインフルエンザ、春にはパラインフルエンザ、夏には手足口病やヘルパンギーナと、1年中たくさんのウイルスが私たちを狙っているのです。
  正確な病原診断を行うには、こうした病気をおこしたウイルスが何であったのかを調べなければなりません。現在ではインフルエンザ・RSウイルス・アデノウイルスなどの検査が病院でも簡単にできるようになりました。しかし、急性気道感染症の原因ウイルスには、実に200種類以上のウイルスがあるといわれ、これらのウイルスをすべて検出することは大変なことなのです。
  私たちの実験室では、培養細胞を使って、患者さんの検体の中にいるウイルスを増殖させて検査をしています。しかし、インフルエンザがよく増える細胞、アデノウイルスがよく増える細胞、夏かぜをおこすエンテロウイルスがよく増える細胞は皆違っており、多くの種類のウイルスを検出するためには、たくさんの細胞を使用しなければなりません。そこで、私たちは、従来から4種類の細胞(HEF,HEP-2,VERO,MDCK)を同時に使用してウイルスを一網打尽に検出できるシステムを採用してきました。
  1999年からは、さらに欲張って、エンテロウイルスの仲間をもっとたくさん検出することを狙って、6種類の細胞を同時に使用するシステム(上記の4つにRD-18S,GMK細胞を加えた)に切り替えました。
  2つの細胞を新たに加えた結果、これまでに検出できなかったコクサッキーA型ウイルスが初めて分離できるようになりました。また手足口病の原因ウイルスであるエンテロウイルス71型などを効率よく検出できるようになりました。(International Journal of Infectious Diseases 7;138-142,2003 参照)
 
 
  今後もより効率的な検査法を考えつつ、山形県内でどのようなウイルス感染症がなぜ、どのくらい流行しているのかを県民の皆様とともに明らかにしていきたいと思います。県民の皆様のご協力をどうぞ宜しくお願い致します。

皆様のご協力どうもありがとうございました