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パレコウイルスparechovirus

流行性筋痛症について(2014年7月記載)

 4日程度の潜伏期後、突然の発熱とともに筋肉痛が出現する。痛みは胸部や上腹部にみ られることが多く、痛みの強さや継続時間は症例によって異なる。呼吸運動や咳で痛みが増強することもある。痛みは頸、体幹、四肢に広がることもある。症状から、肺炎や心疾患、腹膜炎などの腸疾患と間違われやすい。通常は数日で軽快する。原因ウイルスとしてはコクサッキーウイルスB型によることが多く、その他、コクサッキーウイルスA型やエコーウイルスの報告もある。年齢としては小児にも成人にもおこりうるが、30歳以下にみられることが多い。ボルンホルム(Bornholm)病などとも呼ばれる。
 パレコウイルス3型による筋痛症の特徴としては、感冒様症状に加えて発症する筋肉の痛みが、胸部や上腹部でなく、むしろ上下肢近位筋(上腕や大腿)に多くみられること、30-40歳を中心とした若い成人(特に男性)に多いこと、小児におけるこのウイルスの流行期に一致して患者報告があること、などである。

パレコウイルス3型

 パレコウイルス3型は、2004年、愛知県衛生研究所の研究者らが世界で初めて報告した新しいウイルスである。特に小児科領域の感染症の原因ウイルスとして注目を集めている。日常よく見られる小児の感染症である呼吸器感染症、胃腸炎、発疹症はもとより、重症感染症である新生児の敗血症、髄膜脳炎の原因ウイルスと考えられている。我が国では、2006年、2008年、2011年に報告が多く、2-3年毎に6-8月頃の夏に流行がおきると考えられている。
 成人疾患との関連では、2012年、世界で初めて、山形県衛生研究所・山形県内の神経内科医・国立感染症研究所のグループ(厚生労働科学研究班)が、このウイルスが成人流行性筋痛症の原因ウイルスであることの可能性について2008年の経験をふまえて論文発表した。2011年の山形での経験についても続編として2013年に論文発表している。2014年7月18日現在、パレコウイルス3型による成人筋痛症の報告は、世界でも山形からの報告しかない状況(*)にある。
* PubMedでmyalgiaとparechovirusで検索

以下の文献もぜひ、ご覧ください。

  1. 衛研ニュース No.165 (平成24年9月発行)
  2. 衛研ニュース No.172 (平成26年6月発行)
  3. Mizuta K., Kuroda M., Kurimura M., Yahata Y., Sekizuka T., Aoki Y., Ikeda T., Abiko C., Noda M., Kimura H., Mizutani T., Kato T., Kawanami T. and Ahiko T.: Epidemic myalgia in adults associated with human parechovirus type 3 infections, Yamagata, Japan, 2008. Emerg.Infect.Dis. 18:1787-1793,2012
  4. Mizuta K., Yamakawa T., Nagasawa H., Itagaki T., Katsushima F., Katsushima Y., Shimizu Y., Ito S., Aoki Y., Ikeda T., Abiko C., Kuroda M., Noda M., Kimura H., and Ahiko T.: Epidemic myalgia associated with human parechovirus type 3 infection among adults occurs during an outbreak among children; Findings from Yamagata, Japan, in 2011. J.Clin.Virol. 58:188-193,2013.


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