天然のから身を守る

 

 当所では「天然の毒から身を守る」と題したパンフレットを作成しました。
 その内容をご紹介いたします。

 (なお、パンフレットが必要な方は、下記問い合わせ先までご連絡ください。)

はじめに

人類が創りあげた食の文化とその継承

 人類が他の動物と異なるところは、道具を使うことです。火や鍋などの道具を使って調理し、食べ物を摂取し易くします。このような行為によって、堅いものが柔らかくなり、生のものが殺菌され、加えて味が良くなり、保存期間も長くなることが経験的にわかってきました。スパイスなどの利用もその幅を広げました。また、多くの試行錯誤の中から食べられるもの、身体に良いもの、毒のあるもの、薬用とするものが区別されてきました。このような食材や食品を生かすためには、"食"が本来持っているリスクを考え、"天然の毒"や"食と見分けのつかない毒"をしっかり知ることが大切です。そして、先人の知恵である薬草についても、毒草との識別を含めきちんと認識することが必要になります。このようなことが食の安全や健康被害防止につながることであり、先人が培ってきた貴重な食文化の継承にもつながることと考えます。

掲載

食材について
  1. 食用にされているもので量の摂り過ぎによる場合。
  2. 調理の不備による場合。
  3. 食用と毒性のあるものとの誤認。 
  4. 食用と薬用の混同。
  5. 食用でも時期により毒性をもつ場合。
  6. 食用のものが変質した場合。
  7. 食用のものと薬の相互作用。
  8. 食用でも長期摂取による場合。

薬草について
  1. 薬用部位を知ること。  
  2. 前処理方法。  
  3. 服用する量の間違い。  
  4. 毒草との区別。  
  5. 薬効の認識。

終わりに

 食材に関する知恵は、有毒部位の除去、加熱、アク抜き、保存方法など種々のものがあり、長い年月を経て確立されたものです。はじめに毒のある動・植物、キノコなどを食した人々たちには大変な苦労があったことでしょう。薬草の利用についても同じことです。情報が氾濫している現在、正しいものと不適切なものを区別しなければならないのは当然ですが、一時代前は地域の"もの知り"、"知恵者"に聞けば分かるといった類の知識も今はうまく伝わらない場合があります。これまでの知識を確実にし、新たな情報も取り入れながら健康被害にあわないように心がけましょう。そして、先人たちが創り上げてきた食の文化を享受できる幸せに感謝しながら、我々は人類が会得した知恵を有効にかつ慎重に活用し、後世に伝えなければなりません。
お問い合わせ先
山形県衛生研究所
理化学部
電話:023-627-1371