RSウイルス(Respiratory syncytium virus)は RNAウイルスであり、エンベロープという脂質の膜を有しています。軽症の感冒様症状から下部気道感染にいたるまで様々な程度の呼吸器症状を起こすウイルスです。特に乳幼児や高齢者などで重症化しやすく注意すべき病原体です1)。
RSウイルスがHEp-2細胞に感染すると感染した細胞同士が複数融合し、1つの大きな合胞体(シンシチウム)を形成します。ある程度の大きさになると剥離し、ボールのように丸まってきます。RSウイルスが持つフュージョン蛋白により隣接する細胞の膜が融合するためとされています。
以下は当所で使用している6種の細胞にRSウイルスを接種後、4日目で観察した写真です。 RSウイルス接種、ウイルス未接種の細胞像をそれぞれ示しています。 対物レンズはx10を使用しました。
感染後の形態変化をタイムラプス撮影しました。撮影は15分おき、7日分の記録です。ウイルス未接種のHEp-2細胞の経過と比較してご覧ください。
RSウイルスに感染したHEp-2細胞のタイムラプス撮影
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ウイルス未接種HEp-2細胞のタイムラプス撮影
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抗RSウイルス抗体を使ってRSウイルスが感染している細胞を光らせました。
明視野像(左側)、蛍光観察像(中央)、明視野像と蛍光観察像の合成(右側)の順に示しています。明視野像でシンシチウムが識別しにくくなっているのは、免疫染色の固定処理の工程でシンシチウムの立体感が失われてしまうためです。蛍光観察像ではRSウイルスの感染部位が緑で示されています。シンシチウムがRSウイルス陽性であることに加え、シンシチウムになっていない単独の陽性細胞(緑色に光っている細胞)が周囲に点在している様子がわかります。
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